佐賀県ガイド

佐賀県を舞台にした小説

 佐賀県を舞台にした小説をいくつか紹介して行きます。佐賀をより楽しむためにも、良かったらぜひ読んでみて下さいね。滝口康彦さんの「落日の鷹」、司馬遼太郎さんの「アームストロング砲」など、時代小説が特におすすめです。
●「落日の鷹」滝口康彦
 佐賀藩、竜造寺氏と、もともとその家臣であった鍋島氏の交代劇を主題にした長編歴史小説です。ほかの下克上物とは異なり、鍋島氏が勝者という印象はあまり残りません。これは彼らを取り巻く人々が、したたかでリアルに描かれているからかもしれません。

●「アームストロング砲」司馬遼太郎
 幕末関連の話を集めた短編集。表題作にもなっているアームストロング砲は、佐賀藩がアームストロング砲の砲身に必要な製鉄技術を作り出し、最新技術をもった藩になっていく様子が描かれています。ただ、司馬遼太郎の表現には誇張が多いとも言われていて、実際にアームストロング砲を完成させたのかどうかも異論があるようです。それはさておき、当時の日本では最高技術を築くための苦労は並大抵のことではなく、主人公は結局発狂して蟄居させられ亡くなってしまいます。こうした影の立役者にスポットが当てられています。

●「佐賀のがばいばあちゃん」島田洋七
 映画やドラマにもなった有名な小説。この話は少年期を佐賀で過ごした島田洋七さんの自伝的小説です。実はこの小説は徳間書店から出版される前に2度自費出版されています。自費出版した本が最終的にここまでブレイクするのは珍しいですよね。

●「悪人」吉田修一
 映画化もされたベストセラーですから、読んだことのある人の多いかも知れませんね。この「悪人」は、ものすごく簡単に言えば一人の女性を殺した犯人が、なぜ殺人を犯したのかという話です。といっても、どうしようもない事情があって仕方なく殺人を犯した、というような話ではありませんのでご注意を。結局タイトルでもある「悪人」についての解釈は読む人によって様々だと思いますが、その分考えさせられるストーリーになっています。

●「次郎物語」下村湖人
 教養小説と位置付けられるこの本は、昭和16年から29年にかけて刊行された本で、残念ながら未完となっています。下村湖人は昭和30年に亡くなっているからです。ですが次郎物語は映画化されたこともあり、長く愛されている小説です。
 教養小説というのは、主人公の精神的な成長をメインにした小説のこと。教養といわれると読む気がしないという人もいるかもしれませんね。ですが深く掘り下げられた心理描写は、陰鬱な気分になるほど重厚に描かれて傑作なのは間違いありません。現在は青空文庫などでも読めますので、興味があればぜひ読んでみて下さい。

●「火城」高橋克彦
 「佐賀の七賢人」のうちの一人、佐野常民が佐賀藩を技術大国として発展させていく様子を描いた時代小説です。ちなみに佐野常民はもともとは医者で、明治時代は政治家として活躍し、日本赤十字を作った人です。そして話のメインとなるのは、日本発となる蒸気船の開発なのですが、佐野常民と一緒に蒸気機関技術を完成させた人に田中久重(東芝創設者)がいます。幕末好きな人だけでなく、プロジェクトXのようなドキュメンタリー好きな人にも読んで欲しい一冊です。

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